導入のプロセス

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導入には7つのプロセスがある

まず、テレワーク導入の手順は、導入の検討から導入後の評価まで、7つのプロセスがあります。

(1)導入検討・全体方針決定・経営判断

(2)現状把握

(3)導入に向けた推進体制の構築

(4)テレワークに関する社内ルール作り

(5)ICT(情報技術)環境の整備

(6)セキュリティー対策の実施

(7)テレワークの導入・評価

(1)導入検討~(4)社内ルール作りまでを前半、

(5)ICT完了の整備~(7)テレワークの導入・評価までを後半に分けて概要を解説していきます。

テレワーク導入までのプロセス前半編

ここでは前半のプロセスである、導入検討~社内ルール作り編まで4つのプロセスを紹介します。

(1)導入検討・全体方針決定・経営判断

テレワーク導入にあたり、まず重要になるのが、「テレワークを導入することでどのような効果を得たいか」という目的の明確化です。

これは「生産性の向上」「コスト削減」「人材の確保・育成」「働き方改革」「事業継続(BCP)」といった内容が考えられます。目的は必ずしも1つに絞る必要はありませんが、テレワークの導入自体が目的にならないように、導入段階で目的意識を持つことは非常に重要です。

導入目的を明確にしたら、テレワーク導入の基本方針(ポリシー)を策定します。

基本方針の策定についてはテレワーク導入の目的、対象者、対象業務、実施する部門などについて盛り込んだ方針を作成します。従業員と経営サイドで協議しながら策定し、方針について十分な同意を得ることも重要です。

方針を策定後は、スムーズな導入のために、テレワークに関する社内の合意形成を進めましょう。テレワーク導入推進担当者による起案の後、経営層への説明と承認、関係者への説明と承認というプロセスに従い、社内で認識を統一することが重要です。従業員のテレワークに対する理解を深めるために、社内セミナーによる情報発信や、体験型研修の実施も有効です。

(2)現状の課題把握

テレワーク導入のポリシー策定ができたら、具体的な検討段階に進みます。確認するポイントは主に以下のような内容が挙げられます。

・就業規則と関連する社内制度(勤怠管理制度など)

・人事評価制度(目標管理制度、成果に基づく評価制度など)

・ICT環境

・日常での仕事の進め方

・労働組合がある場合は組合の考え方(労働組合がない場合には従業員の考え方)

(3)導入に向けた推進体制の構築

社内の課題を把握した後は、テレワーク導入に向けた推進体制の構築に着手します。推進にあたっては、社内の各部署がテレワークの意義を理解し、導入が円滑に進むように一丸となる体制作りを考えます。

そのためには、推進のプロジェクトチームを設置することなどが考えられます。メンバーは、テレワーク導入に関わる社内制度や施策を担当する部門を中心に構成します。

(4)テレワークに関する社内ルール作り

推進のプロジェクトチームが編成できたら、チームでテレワーク導入に向けた社内のルール作りに取りかかります。定めるルールは下記のようなものがあります。

テレワークの導入範範囲の決定

まずは、テレワークの対象者と対象業務を決定します。対象者については、職種やライフステージなどに応じた明確な基準を設定することが、スムーズなテレワーク推進やトラブル防止のために不可欠です。

対象業務の設定のためには、まずは業務全体を整理し、テレワークで行いやすい業務を選定します。入力作業や資料作成などテレワークで行いやすい業務や、会議や申請業務など、ICTツールの導入によってテレワークが可能になる業務もあります。社内の状況に応じて、現段階でテレワークが可能な業務と、将来的に対象となりえる業務を分けて整理しておきましょう。

労務管理の確認

テレワークの労務管理を確認し、就業規則などにテレワーク勤務に関する規定を盛り込むことが重要です。

テレワーク導入のための教育・研修の計画

テレワークの効果を最大化するためには、導入前の研修の実施が有効です。テレワークに関する社内ルールのほか、テレワークの目的や導入の流れ、導入時の体制などを、テレワーク利用者だけでなく全社員が理解することで、テレワーク推進が期待できます。勤怠管理や人事評価、コミュニケーション手段についても周知しましょう。テレワーク実施社員だけでなく周囲の理解を深めることで、サポートし合える環境を整えることができます。以上がテレワーク導入までのプロセスの【導入検討~社内ルール作り】の概要です。

テレワーク導入までのプロセス後半編

次に、後半のプロセスである、具体的なシステム構築から、導入後の評価方法まで概要をまとめます。

(5)ICT(情報通信技術)環境の整備

テレワークを導入し、その効果を最大限に発揮させるためには情報通信システム環境の確認・整備をすることが重要になります。整備のポイントになるのは主に以下の3点です。

■現在利用するICT環境を生かしてシステムを構築

まず、テレワーク用のICT環境は、利用しているIT資産を生かして構築することも可能です。以下のいずれかの仕組みがあるか確認しましょう。

・リモートデスクトップ:遠隔でデスクトップを操作する方式

・仮想デスクトップ:テレワークで働く社員に割り当てた仮想デスクトップを操作する方式

・クラウド型アプリケーションの利用:インターネットを使ったクラウドで提供されるアプリケーションに、社内外からアクセスして作業する方式

・会社PCの持ち帰り:会社で使っているPCなどを持ち帰り利用する方式

■遠隔で労務管理を行うシステム構築

労務管理には、始業・終業時刻の記録・報告をする勤怠管理、業務時間中の在席管理、業務遂行状況を把握する業務管理があります。

例えば、勤怠管理は、インターネットを使ってシステムにアクセスすれば始業・終業などが記録できるクラウド型の勤怠管理システムを使えば、リアルタイムで就業状況の確認ができます。 また、在席管理はプレゼンス管理システム、業務管理はスケジュール管理ツール、ワークフローなどを使えば、確認や日々の管理が容易にできるようになります。

■コミュニケーション環境

最後に大切なのは、会社とのコミュニケーション環境の構築です。 テレワークではオフィス以外の場所で上司や同僚と顔をあわせずに仕事をする時間が増えます。その結果、コミュニケーションの不足が起きて、テレワーク利用者の業務効率の低下や会社からの疎外感、評価への不安などを招く可能性があります。

この問題の解決にもITツールの活用は有効です。具体的には、電話、電子メール、インスタントメッセンジャー、チャットなどの利用が考えられます。 さらに、「テレビ電話会議システム」や、端末の画面やファイルなどを共有し、リアルタイムの共同作業ができる「Web会議システム」といったITツールを使えば、より密度の高い意思疎通が図れるでしょう。

(6)セキュリティー対策の実施

社外でIT機器などを利用するテレワークでは、不正アクセスやコンピューターウイルスなどの脅威への対策は避けては通れないプロセスになります。 ここでは技術的な面に絞って、テレワーク環境で有効な検討すべきセキュリティー対策を紹介します。

不正アクセス対策:

ファイアーウォールの導入、IPS(侵入防止システム)、IDS(侵入検知システム)の導入

データ盗聴、改ざん防止:

対策方法:VPN(仮想私設網)などの安全性の高い通信インフラの導入

端末管理、情報漏えい対策:

ウイルス対策ソフトウェアの導入、シンクライアント端末や端末操作制御ソフトウェアの導入

(7)テレワークの導入・評価

最後に、導入による効果を把握する方法について紹介します。評価方法は、「量的評価」「質的評価」が一例として考えられます。

量的評価

顧客対応(顧客対応や顧客訪問の回数・時間、新規契約獲得数など)

情報処理(伝票などの処理件数、企画書・報告書の作成件数・時間など

オフィスコスト削減(オフィス面積、オフィス賃貸料、電気代など)

質的評価

業務改善(知識・情報の共有、ムダな業務の削減など)

成果・業績(業務評価の向上など)

全体評価(会社への満足度、仕事への満足度、ワーク・ライフ・バランスの実現など)

以上がテレワーク導入までのプロセスの【システム構築~導入評価編】の概要です

在宅勤務等テレワークの導入事例①富士ゼロックス

厚生労働省では、在宅勤務等テレワークの好事例集を毎年刊行し、テレワーク大賞などの表彰も行っています。

例えば平成29年度厚生労働省優秀賞受賞の富士ゼロックスでは、労働時間の削減や障害者・育児中の者などにとって働きやすい環境を整備するなど、多方面でワーク・ライフ・バランスを実現しています。在宅勤務、サテライトオフィス、モバイル勤務をすべて活用、フレックスタイム制も併用して柔軟な働き方を可能としています。育児中の男性社員が在宅勤務等テレワークを特に活用しており、社員の8割以上が在宅勤務等テレワークに満足しているそうです。

就業規則や運用ルール等をきめ細かく定めるなどの手間はかかりますが、それ以上の効果が得られているといえるでしょう。

テレワークの導入事例② 株式会社ISパートナーズ

導入背景

まず、親会社は今後の生産力と品質をいかに向上させていくか、ライフステージの変化があっても活躍する場をどのように創出するか、という2つの課題を抱えていました。

上記の課題をクリアするために、新しい働き方のもとでコンテンツを生産する選択をし、テレワークを導入した「ISパートナーズ」が生まれました。

導入方法

東京本社、サテライトオフィス、自宅のうち働きやすい場所を選択でき、時間によって働く場所を変えることも可能としました。近隣住民、とくに子育て中の女性を積極的に採用し、通勤時間のロスを減らすようなテレワークを取り入れています。

成果

企業としては、工数管理ができるようになり、不明瞭な仕事を削減しました。また、通勤にかかる交通費などのコストも削減できました。

従業員目線では、在宅や中抜けを可能とすることで私生活との両立が容易となり、業務時間が削られなくなりました。「台風や交通機関の麻痺などにも左右されなくなった」といった成果も得られました。

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