一般社団法人の設立を自分で行うには?

一般社団法人の設立は難しい?自分で設立できますか?

結論から言うと一般の方でも設立は可能です。

「一般社団法人って固いイメージがあるし株式会社や合同会社に比べて設立手続きも煩雑で難しいのでは?」とお感じの方は非常に多いのですが、実際のところはそうでもありません。

一般社団法人は行政の許認可は不要で法に準じた手続きを踏めば誰でも簡単に設立が可能です。

設立の要件も法定されていますが、さほど厳しいものではありません。

一般社団法人設立の流れ

ここからは、実際に一般社団法人を設立する際の手続きや流れをみていきます。

2名以上の社員確保、1名以上の理事を選任する

2名以上の社員を確保し、設立時の理事となる人1名以上を選任します。

なお、理事会設置一般社団法人を設立する場合は、理事3名以上が必要です。

監事設置一般社団法人、会計監査人設置一般社団法人を設立する場合はそれぞれ監事、会計監査人の選任が必要です。(理事と監事、会計監査人を同一人物が兼ねることはできません)

これらの設立時の理事、監事、会計監査人は定款に定める(指名する)こともできますし、定めなかった場合は後述の定款認証後に選任しなくてはなりません。

また、法人は社員になることはできますが、理事になることはできません。

定款作成

法律上、一般社団法人の定款に必要とされている項目は以下の通りです。

定款に必要とされている項目

(1) 目的

(2) 名称

(3) 主たる事務所の所在地

(4) 設立時社員の氏名又は名称及び住所

(5) 社員の資格の得喪に関する規定

(6) 公告方法

(7) 事業年度

定款認証

定款の作成が完了したら、公証役場にて定款の認証を受けます。

定款認証とは、定款が正当な手続きによって作成されたことを証明するものです。定款認証は必ず主たる事務所所在地を管轄する法務局等に所属する公証人に依頼する必要があります。

定款認証には公証人の手数料5万円がかかります。紙に印刷した定款の場合は、3通を用意してください。

電子定款の場合は、電子署名した定款のオンラインのやりとりが中心になります。そのとき、電子署名のためのソフトウェアや法務省の「登記・供託オンライン申請システム」のIDの取得などいくつかの準備が必要です。

登記書類作成

法人登記には認証を受けた定款に加えて、下記の書類を作成する必要があります。

理事会を設置しない一般社団法人の場合

(1)一般社団法人設立登記申請書

(2)※登記すべき事項を記録したCD-R(オンラインで提出することもできます。)

(3)設立時社員の決議書(設立時社員が設立時理事を選任した場合や事務所の所在地等を定めた場合)

(4)設立時代表理事の互選に関する書面(互選した場合)

(5)設立時理事及び設立時代表理事の就任承諾書

(6)設立時理事の印鑑証明書

※「登記すべき事項」とは名称、主たる事務所、目的等、役員に関する事項などをテキスト形式のファイルに記録したものです。

理事会及び監事を設置する一般社団法人の場合は、定款と上記(1)(2)(3)に加えて下記の書類を作成します。

理事会及び監事を設置する一般社団法人の場合

(4)設立時理事及び設立時監事の就任承諾書

(5)代表理事以外の設立時理事及び設立時監事の本人確認証明書(住民票記載事項証明書、運転免許証のコピー等に原本と相違ないと記載して署名または記名押印したもの、など)

(6)設立時代表理事の選定に関する書面

(7)設立時代表理事の就任承諾書

(8)設立時代表理事の印鑑証明書

登記申請書に押印する代表者の印についてはあらかじめ(または、登記申請と同時に)「印鑑届書」を提出する必要があります。

また、代理人に申請を委任する場合は委任状も必要です。

登記申請

上記の定款ほか必要書類を事務所所在地を管轄する法務局の法人登記窓口に提出します。

その際、登録免許税6万円を収入印紙などで納付します。(オンラインで登記申請する場合も、印鑑届書など紙で提出が必要なものがあります。)

登記完了までには1〜2週間程度かかります。これで、一般社団法人の設立が完了です。

一般社団法人の資本金

よくあるお金の質問に、「一般社団法人の資本金はいくら必要ですか?」と聞かれますが、「0円」から設立が可能です。つまり、資本金はなくても設立は可能です。

一般社団法人の設立費用

前述のように、人の集まりである一般社団法人は、財産の拠出が必要ありません。したがって、株式会社等の設立と異なり、資本金、出資金などの用意は不要です。

設立手続きにかかわる費用としては

定款認証費用:5万円(公証人の定款認証を受けるための手数料)

登録免許税:6万円(なお、事務所が複数ある場合は1か所につき6万円です)

上記の計11万円が不可欠な費用です。

そのほか、設立事務を専門家に依頼する場合はその費用、役員の住民票を取得する費用、印鑑作成などの費用が発生します。